インターネットの海とEWBハンドブック
この記事はEWBアドベントカレンダー2019
の1日目となります。
とりあえず14日あるんでね、最初はゆっくりいきます。
この記事自体のEWBの中身との関連はちょっと薄くなります。もうちょっとジェネラルな話題です。
引用元を全て用意するのは14日完走するためには辛いコストなのでご容赦ください。要望があれば載っけられるソースについては後から足します。間違っている箇所については検証の上修正していきます。
「インターネットに流出したものは消えない」のか
「インターネットに一度流出したものを消すことは難しい」という問題提起?を見たのは、P2Pソフトウェアで不適切なコンテンツを共有してしまう事件が頻発していた頃に見られたのが私の周辺での感覚である。「吐いた唾は飲み込めない」といったものも含意していたと理解しているが、逆に「インターネットに資料があるから安心」とはならないことを実感したのが私にとってのEWBコンソーシアムである。
私がEWBの存在を知った頃、未だEWBコンソーシアムのページは存在し、EWBのソースコードや 各プラットフォーム用のバイナリが配布されていた。詳しくは2日目の記事にするが、結論から書くとこの時入手することができた情報の少なくとも1部は私の手の届く範囲から欠落してしまった。KADOKAWAによるアスキー(アスキーメディアワークス)統合によるサイトの消失とサイトに掲載されていたページの消失である。
EWBコンソーシアム以外のEWBに関連したページというのは、かなり少ない。1出版社の内部で使われていただけのフォーマットとツール群と考えれば不思議なことでもないのだが。例えば秀和システムで要求されるフォーマットについて、スライドに一瞬映る以上の記述が述べられたサイトがあるだろうか*1。しかし、オープンに公開されていた情報であるにも拘わらず、EWBについて言及したブログ記事はほぼ無い*2。オープンになっている情報であるからといって、皆がアクセスし、記憶・記録をしているとは限らないのである。
リソースを保管するにはコストがかかる。自らの手以外の場所で、そこに行けば必ず得られるものを 保管するには相応の理由が要る。図書館の蔵書能力にも限界があり、個人の収蔵も没後に価値を共有されていなかったりすると悲惨だ *3。 ビルゲイツはすごいな。
Mastodonの運営からniconicoに続いてPixivも引いた。 連邦型SNSは中央型SNSの問題の軽減はできるが解消とまではいかないのでまあそうなりがち。 完全P2P型SNSは動作要件とニーズが合わないのかなかなか難しい。コンテンツの管理に関してはより混沌とするし。この辺は別のアドベントカレンダーの記事で書く予定。
Twitterのアカウントが突如削除されて故人のデータに触れることができなくなるといったケース*4についても、皆知ってはいたリスクにしても現実味がなかった。なんだったらTwitterを使っているがこのニュースを知らない人間も周囲にいた。実際2週間ほどで一斉に故人のアカウントが全て消えたとしたらどれだけの人間がそこにあった情報にアクセスできなくなるだろうか。他の問題として、個人でその情報を保管していた人間がいたとして、その情報の真正を証明できるのか。
企業に集権的に蓄積されたデータは企業の都合で消失することがある。インターネットの海は広大であるが、区切られており、様々な場所でそこにしか無い資源があったり、そこにしか無い環境であったりする。 終了したソシャゲのデータはどこかに著作権が切れるまで保管されるのだろうか。
Internet Archiveというプロジェクトがある。 Internet Archiveは膨大な数のWebページのキャッシュを保管しているが、Webページの全ての情報を保存している訳ではない。その欠落する情報の1つがpackingされたソースコードだったりバイナリだったりする。 EWBコンソーシアムのサイトに書かれていた情報は幸いこのような場所から得ることができる。改竄されていないかどうかは信じるしかないが。
EWBハンドブックをみつけたかもしれない
プログラマのような職種にとって、望みをかける場所はまだある。パッケージマネージャのサイトに保存されているソースなどだ。バージョン毎のサポート期間内は少なくともソース・バイナリを保持しており、 サポートが終了してもリソースは残っていることもある。 EWBはDebianに登録されていた時期がある。当然探したが、2019年にEWB本体のコードは私には探せなかった。 代わりに、EWBコンソーシアムに載っていた情報以上のもの(実用上必要になる情報)が揃ったEWB Handbookに関してはaptのサードパーティのリポジトリを登録するLaunchpadにソースコードと見られるものが存在した。 EWB本体が見つからないのでビルドはできなかったが。
後日、大学時代の先輩から『VMware Playerですぐ使える 日本語TEX&EWB組版システム』を紹介してもらった。アスキーのEWBの本が何故アスキーからでないのかは置いておいて、重要なのは EWBのFreeBSD版バイナリが同梱されたディスクがついてくること。本自体の内容はVMwareでのセットアップなどに重きが置かれており、知りたかった仕様や実装などではなかったが。
こちらに関しては後日の記事のために残しておく。
極限状態でインターネットの海を彷徨うと、意識を取り戻したときに成果物だけ持ってどこか知った場所で意識を取り戻すことがある。 普段ならこういったものを扱いたくはないが、まあ元データのライセンスを確認し、内容物のチェックも一通り行ったので再配布要件とウイルス汚染は問題ない、筈である。こうしてEWBハンドブック.pdfが手に入った。
で、
に置いた。ここから始まる14日間のアドベントカレンダーの内容はこのハンドブックの内容を薄く引き延ばしたものと大差ない内容となる予定なので、見切りをつけたい方、15日目以降に参戦を希望される方は こちらを参照してほしい。また、万一このソースとpdfの公開について各種法律的に問題が生じているようであれば申し出いただければ対応する予定である。